網膜裂孔・網膜剝離
網膜裂孔・網膜剥離とは
裂孔原生網膜剥離は、網膜にできた穴(網膜裂孔)が原因となって起こる網膜剥離です。加齢による硝子体の変化により、網膜が引っ張られ裂孔(穴)が生じることが多いです。
若年者の場合は、強度の近視や外傷などにより薄い網膜が萎縮して、円孔という丸い穴ができることがあります。そこから水(液化した硝子体)が網膜の裏に入り込むことによって、網膜が剥がれてしまいます。
初期には飛蚊症といって、視野の中に小さな虫が飛んでいるように感じたり、光視症といって、視野の中をキラキラと光が走るような症状がみられることがあります。また、網膜が剥がれてくるとその部分に応じて、カーテンが降りてきたように視野が欠け見えなくなってきます。物を見る中心の黄斑部にまでそれが達すると、急激に視力が低下します。
初期の頃は、裂孔ができていても網膜剥離になっていないことが多いです。その時に、原因となっている裂孔の周りをレーザーにより固めることによって、網膜剥離に進展することを防ぎます。
網膜剥離まで進行している場合は、手術を行う必要があります。網膜剥離の手術には、強膜内陥術と、最近主流となっている硝子体手術があります。

強膜内陥術
強膜内陥術は、眼球の外側からシリコンスポンジを強膜という眼球の組織に押さえつけるように縫合します。そのシリコンスポンジが眼球を少し凹ませることによって、網膜剥離の原因である網膜の孔をふさぐ手術です。若年者の網膜剥離では、この手術を行なうことが多いです。この手術の利点は、眼内にガスなどが入らない為、白内障になるリスクが少なく、また術後の体位もほとんど制限はありません。

硝子体手術
昨今主流となっている術式です。眼内から直接網膜を治療する手術です。その為、見落としが少なく、網膜剥離の原因となった硝子体の牽引を除去することが可能です。手術終了時に目の中にガスもしくは空気を入れますので、術後はうつむきであったり横向きなどの体位制限があります。
硝子体手術は、この20年でどんどん器具が細くなり、一番細いもので0.4mm程度(27G小切開硝子体手術システム)となっています。白内障手術以上に傷口が小さい為、ほとんどの症例で無縫合で手術を行なえます。小切開での手術は、眼内への侵襲も少なく、その為日帰りでの手術が可能となっています。当院では、25G硝子体手術システムも採用しており、患者様の目の状態で使い分けています。
網膜剥離は、中心部(黄斑部)にまで進行しますと、視力が低下したり、歪みの自覚症状が残ってしまいます。網膜剥離は急速に進行しますので、当院では、この網膜剥離に対して、即日緊急手術を行ないます。
